短編オートバイ小説 「いなかの悪ガキ 1」
2006年 05月 22日
いつも草だらけの広場で、三角ベースの野球をするのがケンジの夏休みの毎日だった。
陽が傾いてきて、いつもならケンジのおかあさんが「ごはんだよ」と呼びにくるころ、今日は突然一台のオートバイがやってきた。
バイクと言えば、郵便屋さんのカブしか見たことのないケンジ達にとって、大きな荷物をシートにくくりつけた一台のバイクは、野球を投げ出すには十分だった。
広場のすみにバイクを停めると、仮面ライダーのような長靴を履いたその人は、ヘルメットを脱いで荷物を降ろし始めた。
ケンジ達八人と妹のミチコが連れてきたポチに見守られるなか、オレンジ色のテントが出来上がった。
そこで学級委員のマコトが代表して質問することになった。
「どこから来たんですか?」
「東京から」
「わー東京だってよ。すげえなあ。」
ケンジ達はわけもわからずに大喜びだ。やたらすげえを連発している。
でも東京がここからどのくらい遠いのか見当がつかない。
「ガソリンスタンド5回ぐらい入ったんですか?」
さすがにマコトは頭がいいとケンジは思う。
「いや、10回ぐらい入った。」
「すげー、ガソリンスタンド10回も入ってきたんだってよ。遠いところから来たんだな。」
黒い大きなオートバイは、少年達のあこがれを一つに集めていた。
ケンジがタイヤに触ろうとすると、
「勝手にさわるんじゃない。」と怒られ、
妹のミチコがポチをテントの中に入れてしまうと、
「悪ガキどもはあっちに行け!」と追い払われてしまった。
(続く)
陽が傾いてきて、いつもならケンジのおかあさんが「ごはんだよ」と呼びにくるころ、今日は突然一台のオートバイがやってきた。
バイクと言えば、郵便屋さんのカブしか見たことのないケンジ達にとって、大きな荷物をシートにくくりつけた一台のバイクは、野球を投げ出すには十分だった。
広場のすみにバイクを停めると、仮面ライダーのような長靴を履いたその人は、ヘルメットを脱いで荷物を降ろし始めた。
ケンジ達八人と妹のミチコが連れてきたポチに見守られるなか、オレンジ色のテントが出来上がった。
そこで学級委員のマコトが代表して質問することになった。
「どこから来たんですか?」
「東京から」
「わー東京だってよ。すげえなあ。」
ケンジ達はわけもわからずに大喜びだ。やたらすげえを連発している。
でも東京がここからどのくらい遠いのか見当がつかない。
「ガソリンスタンド5回ぐらい入ったんですか?」
さすがにマコトは頭がいいとケンジは思う。
「いや、10回ぐらい入った。」
「すげー、ガソリンスタンド10回も入ってきたんだってよ。遠いところから来たんだな。」
黒い大きなオートバイは、少年達のあこがれを一つに集めていた。
ケンジがタイヤに触ろうとすると、
「勝手にさわるんじゃない。」と怒られ、
妹のミチコがポチをテントの中に入れてしまうと、
「悪ガキどもはあっちに行け!」と追い払われてしまった。
(続く)
by mac-trading
| 2006-05-22 13:21
| 旅